建設途上のビルを乗り越えて、ファシネイターは地上を踏みつけた。
搭乗者が口を開く――
「やっと会えたな、モリ・カドル」
そして、黒塗りのWR07M-PIXIE3を向ける。
「ここで決着を――」
急にハウリングが起こり、ジナイーダは眼を細めた。
次いで、相手の息を吸う音が聞こえ、彼女は耳を澄ました――
「君っていくつ？（同い年が良いな） スリーサイズは？（95・58・88が理想） 身長は？（僕より高いのはちょっと……） どこ住み？（本部に近いと良いよね！） 好きなタイプは？（強くて優しい人！） 恋人いる？（いても関係無いし） 年収は？（高いと引け目だけど、頼りになるよね） 煙草吸う？（煙い） 料理作れる？（手料理食べたい） 休みの日は？（アリーナの撮り溜め一緒に観たい） 好きなパーツは？（クレストって最高だよね！） ジナイーダって本名？（誰かと似てるような） ジーナって呼んで良い？（モリィって呼んで） 脚クレストにしない？（オソロイ！） っつーか、顔見せてくんない？ まずはそれからだ」
「……」
「ねぇ、ねぇねぇねぇ」
「死ね」
ピンチベックのコアに、弾丸の雨が降り注いだ。